素浪人の生存報告

　朝食はバイキングやけん、たらふく腹に詰め込んだ。ああ、お得。
　10時ギリギリにチェックアウトした。私は本当に、早起きして早く出発するということが出来ん。多分一生このままやろ。

　佐賀から熊本への道は、いつも通りつまらなかった。狭い、車は少なくない、惹かれる景色もまるでない、という道路。この国には、こげな道があと何千キロあるとやろ…
　ここまで、チャリンコを漕いでいて楽しいと感じた回数は片手で数えられるくらいだな。大抵は「辛い、疲れる、つまらない」の3Tだ。楽しいのは、人と話してる時と、漫画を読んでいる時。幸せなのは、寝てる時。

　自転車で旅していると、日本は山国なのだと実感する。で、私はその山国の中の、自転車で走りやすい部分を選んで走っている。しかし、山国の魅力は、自転車で走りにくい部分、山にあるのではなかろうか。
　…俺はわざわざつまらん所ばっか選んで旅しとっとか！そうかもな。まあよか。今更考えるのもせからしか。
　さっさと四国で歩きお遍路したいぜ。歩きなら登りも耐えられるよ。

　予報通り雨が少しぱらついていたが、すぐに止んだ。
　佐賀県まで、市街地がほぼずっと続いた。物心ついてから初の佐賀県。特に用はない。経県値を増やす為だけの訪問だ。かわいそうな扱いだが、今回の私の旅で、かすってすらもらえない栃木県(完全無視)よりはましだということで、佐賀県君には溜飲を下げてもらおう。

　佐賀市に向かう途中、吉野ヶ里町で大砲ラーメンを食べた。久留米ラーメンの名店らしいので、旅に出る前から目をつけておいた。
　ラーメン480円。有名店ゆえ高いのかと思っとったばってん、流石は九州。ラーメンは庶民の味方ばい。東京のラーメンは、うまくないくせに高いのよ！
　さてそのお味。スープをすすった瞬間、ややっ！？っと思った。まろやかで、実に胃に優しそう。栄養ありそう。しつこさ皆無、油で胸焼けする危険性も皆無。スープだけで料理として出せそうだ。ただ、麺は茹で方が悪かったのか、不味かった。
　スープ作りに時間かけとるだろうし、ざっと数えた所店員は7名もいるし、採算合うんかいな。480円だよー。良心的たいねー。ずっと続いてほしいな。

　日本シリーズを見られることを期待してSAGA市にカプセルホテルを取ったが、BS2とBSハイビジョンは映るのに、よりによって日本シリーズを中継しているBS1だけが映らなかった。残念。まあ中日が危なげなく勝ったようだからいいか。
　このホテル、大浴場と朝食付きで一泊2000円。北海道のライダーハウス並にお得だ。

　シーズン三位のチームは気楽でよかね！負けて元々、勝ったら儲けもんやもん。成瀬なんか、五回でマウンド降りたとに、ベンチでヘラヘラしよった。こげなチームに日本シリーズ持っていかれたら、納得いかんばい。谷繁さん明日は信じとります、頼みます。

　福岡弁上達中のわたくし、今日も大叔父(おおおじ。祖母の弟、母の叔父)さん宅にお世話になり申した。
　朝はショッピングモールに連れて行ってもらい、サイクリング用ズボンばこうた。7000kmを共にして来た初代は、尻の部分がもう擦り切れそうなのだ。サイクリング用ズボンなんて都会にしか売っとらんけん、パンチラ状態になる前に、京阪神以西最大の都市福岡につけてようございました。

　大叔父さん宅では、従叔父(じゅうしゅくふ。大叔父の息子、つまり私の母の従兄弟。そして母より年下)、従叔母(じゅうしゅくぼ。大叔父の娘、母の従姉妹。母より年下)、再従弟(さいじゅうてい。大叔父の孫・従叔母の息子。私より年下)という難しい呼び方の親戚と会えて楽しい。親戚付き合いなんて殆どしたことがなかったですけん、新鮮な体験でがんすぞな、もし。
　自分のルーツば近付けたごた気のして嬉しか〜。

　祖母(私が物心ついた時には、祖父母は福岡の祖母しかいなかった)が亡くなって以来、10年振りの「田舎」。10年たてば変わるもんやねえ。2車線だった道路が4車線になり、ロードサイド店がポコポコ立ち、マンションも増え、川は少し綺麗になった。福岡は人口増え続けとーとやろね。
　ばってん、川原の、ばーちゃんとかーちゃんに花火で遊んでもろーた所は残っとった。そこで昼飯食べた。

　祖母の兄弟(私の母の叔父さん)とお会いしたら、「よう来た、嬉しかばい」と喜んでくれた。
　チャゲの名曲に「なくした物は景色だけさ」という歌詞があるが、なんとなくその感覚はわかる。


NとLの野球帽

　今日は母の高校時代の友人Hさんのお宅に泊めて頂く。
　9時頃大道芸人さん宅を出、かなりゆっくり進んで、出生地福岡市に到着。中心部には入ってなかけど、都会やな…。ボロっちい格好だと気が引けるぜ。

　安い床屋で、930円で髪を切って、Hさん宅へ。うまか鍋とがめ煮をご馳走になりもした。野菜をたんと頂いた〜


今日の一曲。
紙風船で「冬が来る前に」。
今の季節にぴったり。大学時代、自動車教習所の送迎車のラジオから流れているのを聞いて初めて知った歌。かっこいいな！と思って、家に帰ってからすぐにネットで調べたったい。