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素浪人の生存報告

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53日目 7/6  足寄町~帯広市

 いつも通り曇りだ。ナイタイ高原は諦めた。予定では今日行く筈だったが、行ってもきっと霧しか見えないし、高い所(800m台)まで登るのがおっくうだ。また悔いが残った。

 偶然、鈴木むねお先生が参院選の民主党候補の応援演説をしに故郷・足寄町に来るというので、食堂のおばちゃん、京都おっちゃんライダー、更に同宿の京都おばちゃんライダーと聞きに行った。
 鈴木むねお先生は、テレビで見たまんまの人だった。「管さん調子こいて消費税の話しちゃった。管さんは、たけかんむりがとれて、官僚の官になってしまったんです!」と言っていた。

 演説の帰り道、食堂のおばちゃんと顔馴染みの足寄町長に、役場に寄って行かないかと誘われた。おばちゃんと京都おばちゃんライダーと3人で役場にお邪魔した。
 役場は、足寄産の木材をふんだんに使った、豪華な建物だった。建ててまだ3年だかそこいら。今どきの公共施設らしく、大きなガラスも多用されている。
 町長が職員を顎で使って、おばちゃんライダーと私に足寄町の観光パンフレットをくれた。この町長、ざっくばらんな感じが良い。
 そして、町長室に招待された。アイスコーヒーとお菓子をごちそうになった。なんやかんや話を聞いて、最も印象に残ったのは、「森の保水力が弱ってる。昔は大雨の直後ではなく、2・3日後に大水になったけど、今は大雨が降った途端に川が溢れる」って話。田舎にずっと住んでいる人にしか実感できない事だ。
 町長室の後は、議場を見せてくれた。ここでワイワイ口喧嘩するらしい。
 ナイタイ高原にはいけなかったが、何だかよくわからない観光が出来た。普通、旅先の町の町長室でくつろぐなんてこたあ、でぎねえべ。それにしても、町長は暇だったのか…?


 今日は帯広が目的地。あと、帯広の手前の十勝川温泉に行ぎます。ここは、世にも珍しい植物性モール泉なのであります。植物性モール泉が何なのか知らない人は、インターネットで調べてみよう!

 もう北海道の田舎道は飽きたぜー、とぶらぶら漕ぎながら、音更町の十勝川温泉に到着。観光案内所で、温泉地に数件あるホテルの内、入浴料金のチープな所をチェキしてゴー。
 温泉は、茶褐色(?)で、少し浸かったら体がポカポカになった。そもそも、自転車を漕いで既にポカポカになっていたのかもしれないが…


 帯広に着いた時は、空は暗くなっていた。中心街に近いライダーハウスに行き(宿主に電話で数回道を聞いた)、近くの長崎屋でルンルン♪と夕飯の買い出しをし、マイ鍋で調理して夕食にありつけたのは21時台。トントロともやしとキャベツを焼いて食べた。たんぱく質と野菜ば採らにゃーな。

52日目 7/4  阿寒町~足寄町

 朝、湖畔のアイヌコタン(「コタン」はアイヌ語で「部落・村」)の駐輪場で、高知県ライダーのおっちゃん2人と再会した。うーん偶然。

 アイヌコタンで民芸品を物色していたら、ある民芸品屋の若い店員さんから、「自転車ですか?」と聞かれた。格好でわかるのね。
 このお兄さんが自転車に詳しい人で、私の自転車を見てもらい、ブレーキが効きやすくなる様に調整してくれた。ありがたや~。これで下り坂ブレーキが楽になる。

 土産物を見たりエコミュージアムセンターに行ったりしていたらあっという間に時間が経ち、阿寒湖からの出発時刻は14:53になったった。旅初日の14:15くらいを抜いて、出発時刻の最遅記録更新!わあ~
 今日の目的地は足寄町。の予定だったが、民芸品自転車お兄さんにオンネトーのキャンプ場をえらく薦められた。オンネトーとは、色が多彩に変わる、非常にきれいな湖だ。行ったことがないので行ってみたい。阿寒湖町から20km弱。阿寒湖町とオンネトーの間には標高645mの足寄峠があるが、この時刻に出発しても問題ない距離だ。
 一方、足寄町は60kmくらい。足寄峠から先は下り坂だとは思うが、出発があまりにも遅い。されど、7/17函館、8/7福島県で人と会う約束があるので、先へ進んでおきたい。

 阿寒湖を出発し、足寄峠にかかる。霧が出て、不気味だ。毎日天気が悪い。だが、結構な登りを覚悟した足寄峠はあっさりと終わった。3km登ったかどうか。そもそも阿寒湖町の標高が結構高かったようだ。得した気分だ。
 後は下り坂だ。オンネトーは面倒臭くなって無視した。野付半島に次いで、悔いが残る。まあ、悔いを残しておけば、また北海道に来ようという気になるだろう。
 10kmくらいずっと下りだった。おそらく、私の中での下り坂最長記録だ。楽チンなことこの上ない。
 下り坂が終わった後はアップダウンが待っていた。天候が怪しいので、早く足寄に着きたい。俺の本気を見せてやるぜ!と珍しく思いっきり漕いで坂を登った。そんな私は、夏休みの宿題を夏休み最終日か2学期が始まってからやる類の人間だ。また、2ストライクに追い込まれないとバットを振る気にならない類の打者でもある。追い詰められないと力を出さない。

 そんなこんなで足寄町中心部に入ったら、雨が降ってきた。昨日に引き続き、ぎりぎりセーフだな。間に合っちゃう運の良さが、私のいい加減を助長するね。
 今日の宿は大阪屋食堂だ。飯を食えば無料で泊まれる、ライダー御用達の食堂。勇払町のSL宿で一緒だった京都のおっちゃんライダーと再会した。色んな所で色んな人と再会するな。
 でも、この人とは再会すべきではなかった。いびきがすごくてねむれねえ…

ただ今のご報告

函館から大間行きのフェリーにのっております。
横で初老の夫婦がカモメにかっぱえびせんをやっております。余裕あるなあ、と思います。私など、自分にかっぱえびせんを与える余裕すらない。
かっぱおばちゃんが「やるかい?」と私に手渡してくれたかっぱえびせんを、一瞬食べてしまおうかと思ったのが悲しいですね。

51日目 7/4 弟子屈町~阿寒町(現釧路市)

 しゅっっぱつ!今日も峠越えだ。阿寒横断道という道を通って阿寒湖へ行く。地図には「最大斜度8度」と書いてある。昨日高知県ライダーさんに聞いたところ、知床峠よりきついらしい。やってやんよ。

 キャンプ場を後にし、牧草地を走る。坂の手前の歩道で、相変わらず前のギアチェンジが出来ないので手でいじろうとしていたら、軽トラックが前に止まった。夫婦と幼児が乗っている。おじさんが声をかけてくれた。
「どうしたー?なおせるか?」
『たぶん大丈夫ですー(本当は自分ではどうにもできない)』
 おじさんが車から降りて、見てくれた。結構自転車に詳しいらしい。家に戻ればペンチがあるから、それで何とかしてくれるとのこと。家は近くらしいので、軽トラの後を着いて行った。
 おじさんちは酪農家だった。「儲かるよー」」と言っていた。そうか、酪農は実は儲かるのか…。
 おじさんがペンチでディレーラー(ギアチェーンを動かすやつ?)を調節したら、ギアが変わるようになった。わあい。これは、原始時代から一気に弥生時代に変わったくらいの劇的な変化だ。久し振りに快適に走行できる。
 おじさんにお礼を言って爽快に出発。


 摩周湖の近くの市街地に行ったら、久しぶりに日本の風景を見た。寺院だ。里心がついた。日本に帰りたい。
 何故なのかわからないが、私は札幌の大学時代、北海道にいる間中寂しさを感じていた。大学時代、札幌から富山に旅行に行った時は、富山空港の湿度・気温と、空港周辺の田んぼ、山の風景に、かなりの安堵感を覚えた。「日本に帰ってきた」と感じた。
 決して北海道が嫌いなわけではなく、むしろ好きなのだが、私の中では、北海道は外国なのだ。北海道と内地では、自然も、家の形も、道と空の広さも違う。
 おそらく、私は北海道にいる時は、住み慣れた日本から離れていることにストレスを感じてしまうのだろう。損な性分だ。

 摩周の集落を過ぎてからは、森林地帯に入る。阿寒横断道だ 最初はまだアップダウンの名残があったが、やがて登りのみなった。山登りだ。ほいほい。適度に休憩を取りながら、ゆっくり登る。
 確かに、西からの知床峠越えよりも斜度がきつい様な気がする。だがまあ、登れないことはないので、今回も漕ぎ切った。

 展望台でおやつのポテトチップを食べようと思ったが、誰もいない駐車場で、「がさがさ!」と笹の中を何かが動いている音が鳴った。熊か!?!?!と青くなって、一目散に逃げ出した。北海道、何て恐ろしい所なんだ。
 ちょっと先の、次の展望台にはバイクツーリングの人が沢山いた。更に、アイヌの民芸品を作っている売店があり、売店の中にテーブルと椅子があったのでお店の姉さんにことわって歩手地を食った。坂道で汗をかいたあとの塩分補給だ。
 ポテチを食った後はアイヌ民芸品鑑賞。久し振りにアイヌ模様をじっくりと見てみたが(多分14年振り)、面白い。日本にはなさそうな文様だな。店員さんによると、アイヌはロシアや北欧の北方民族とルーツが同じだと言われているらしい。

 ストラップを1つ買って店を出た。阿寒湖畔までは下りだ。ささっと無難に下って、湖畔の町に着いた。相変わらず人に道を聞きながら、アイヌ集落の中のライダーハウスに到着。
 しかし、私が北海道でヒグマの次に恐れる動物、犬が3匹いる…ワンワン吠えていやがる。3匹の内、2匹は届かない位置にいるが、1匹はライダーハウスの入り口にいる。
 ライダーハウスの中からおじいさん(多分アイヌ)が出てきて、そこに自転車を置け、と指示された所にチャリンコを置いたが、犬が寄って来て、落ち着いて荷物を外せない。犬が寄ってきたら逃げる。そしたら犬が吠える。はああああ。しかも雨が降ってきた。犬も雨も嫌だ。どうすることも出来ず、20mくらい離れた所にある木の下にしゃがみこんだ。峠よりよっぽどきついわ・・・
 みじめな気分でじーっとしていたら、おじいさんが「犬駄目なのか」と、犬を家の中に入れてくれた。たすかりまちたー

 荷物を部屋に入れた後、阿寒トレーニングセンターの中にある温泉に220円で入った。そしてライダーハウスに戻り、おじいさんが用意してくれた晩飯を、同宿の夏休み筑波大学院生チャリダー4人と共に食べた。







50日目 7/3  弟子屈町足止め

 Kさんは明日釧路空港から東京に戻るので、今日中に釧路に移動して泊まる。ここでお別れだ。Kさんには、丸々3泊分の宿泊代をお世話になってしまった。お陰さまで、食パン地獄から一時解放され、美味しいものを沢山頂けた。私の旅の最後の宿泊地は、Kさんの住む神奈川県の予定なので、また来年お会い出来ることを楽しみに、お別れした。

 昨晩は霧雨で、今朝は雨は止んでいたのだが、バーベキューハウスにテントを広げて乾かしていたら、本降りになってしまった。バーベキューハウスから出られなくなった…。Kさんの3倍くらい時間をかけて、ちんたら出発準備をしていたせいですか。

 バーベキューでじっとしていたら、キャンプ場の管理人のおじさんが来て、テントと同じ値段(370円)でいいから小屋に泊まっていけや、と言ってくれた。
 先に進んでおきたい気持ちがまだあり、連泊する踏ん切りはついていないが…
 一向に止む気配がない。連泊決定。ちんたらちんたら準備をしたお陰で、ずぶ濡れにならなくて済んだのだ。何が幸いするかわからぬものよ。

 雨が弱まった隙を見て、バーベキューハウスから管理棟に移動した。管理棟には椅子とテーブルが置いてある休憩所があり、座ってのんびりできる。休憩所には先客がいた。60代前半らしきおじさんがパソコンを充電している。高そうな鞄も机に置いてある。ビジネスマンだろうか。
 『雨で足止めですよ~』だかなんだかと、話し掛けてみた。何時もの「学生?」『26無職です』のやりとりから私の自己紹介に発展し、旅に出た理由やかつての仕事などについて聞かれて話した。このおじさんは、今朝も高知県ライダーのおっちゃん達に話し掛けていた。この方は、多分人間観察が好きなのだ。私もこんなことを言われた。
「しかしあなたは…言葉が豊富だね。そして、的確だ」
『そうですか?』
「うん、的確だよ」

 普通にしゃべっていただけなのだが。その後、おじさん夫婦のテントに招待され、コーヒーとパンをごちそうになった。

 夜になって、休憩所で再びおじさんと話したら今度はこんなことを言われた。
「あなたは優秀だから、(働かないで旅をしているのが)勿体ない」
『そうですかね?』
「自分では気付いていないだけで、優秀だよ。話していればわかる」

「お金というものは、付いて回るものなんだ。例えば、看護師の資格を持っていれば、何処にいても働ける。お金は付いてくる」
「税理士なんて良いと思うよ。あれは一つの教科の合格がずっと有効になるから、働きながら勉強して、全部の教科を揃えればいい」

 ははぁ。私は、自分が仕事が出来ない人間ではないとは思うが、与えられた仕事を、周りの目をごまかしつつ、最大限にさぼりながらも制限時間内に納めるという、受動的且つ意欲が無い働き方をする。私としては、残業ほぼなし・必ず週休2日・有給休暇全部消化で、月給20万円貰えればいい…。
 そんな塩梅で、自分の能力を磨いたり活かしたりしながら金を稼ぐという考え方は、今まで全く無かったなぁ。むしろ、労働とは、人間が神から与えられた罰だ。
 でも、税理士か…。どんな仕事なのか全く知らないが、何だか頭に残るな。

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職業:
素浪人
自己紹介:
旅烏になり申す。

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