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素浪人の生存報告

カテゴリー「旅 III 北陸〜山陰」の記事一覧

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96日目 9/12 井波町〜五箇山〜井波町

 屋根の下にテントを張ったのは大正解だった。夜中に雨がざんざん降った。雨音でよう眠れんかった。

 朝、道の駅の前に住んでいる元製薬会社の社長さんや、道の駅に来ていた地元のご夫婦や、道の駅の店員さんと話したり応援されたりして、心ホカホカで五箇山へ向け出発。日本人の皆さんは親切だわあ。

 井波から8キロ程で「越中の小京都」の城端(じょうはな)に着いた。蔵や石畳の道が綺麗だ。しかも、観光客が少なくて落ち着く。和菓子屋さんで絹入りのシルクソフトクリームを食べた。うめがった。
 城端市街を出て山道にさしかからんとした時、私を追い越した軽トラが路肩に止まった。運転席からおじいさんが出て来た。
「何処に行かれる?」
『五箇山ですう』
「この先は凄い山道で大変や。乗っていかれ」

 いよっしゃあ!ラッキー!有り難く軽トラの荷台に自転車と荷物を乗せさせて頂き、私は助手席へ。
 道はすぐに結構急な上り坂になった。こりゃ確かに、漕いで上るのは難儀や。おじいさんに救われたわ。
 車内でおじいさんは「あんた25,6やろ」と言ってくれた。旅に出て初めて正しい年齢を推定されたぜ…

 寄り道コースで、湧き水を汲んだり、栃の実を拾ったりした。栃の実は餅にすると金になるらしい。
 おじいさんは世界遺産の相倉(あいのくら)集落の手前まで乗せてくれた。ありがたやありがたや〜。


 さて、初合掌造。山の合間に部落があり、斜面は棚田で、わずかな平地に合掌造が集まっている。隣の家の家計もわかるくらいの付き合いなんだろうな〜、と思う位の閉ざされた空間だ。
 相倉から少し離れた、五箇山のもう一つの世界遺産、菅沼集落にも行った。こちらは斜面の上から写真が撮れた。



 ま、外から見る分には「こんなもんか」といった感じだ。合掌造の真髄は機能性にあるのだろうから、実際に人が住んでいる家の中に入らないと感動は味わえんやろ。
 
 疲れているので井波に戻ることにした。帰りは下りやろ。と、思いきや、上りもあるがね。わしの嫌いなアップダウンやないけ。はあ。
 上りをしゃこしゃこ漕いどると、農産物直売所の横で小さな男の子に声をかけられた。
「お茶ありますよ」
 おお、ありがとう、と湧き水でお茶が冷やされているコーナーに連れていかれると、
「お茶は150円、オレンジジュースも150円です」だと。
 しっかりしとるやないけ。『僕お金ないんだよ』と言うと、「水汲んで行かれ」やて。そして、汗をかいている私を見て、「顔洗われ」やて。人なつっこい子やのぉ。かわええ。小学二年生。
 私が、『(いつも持ち歩いている)お米が切れた』という話をしたら、「うちのお米分けてあげる」と、直売所のすぐ近くの家に連れて行ってくれた。家の中では少年のおじいちゃんがくつろいでいたが…アイスと炊いたご飯をもらって遠慮なく食べた。少年自らお椀にご飯をよそってくれ、「今までこんなに親切な人いなかったでしょ」だって。ほんとに可愛い子だね。
 外で少年と記念撮影をして、お別れ。「また会おうね」と寂しそうな顔で言う少年が、またかわいかった。

 帰りは、行きにおじいさんに送ってもらったのと違う道を選んだら、井波まで終始アップダウンだった。ファック!

 井波に着いてから、昨日と同じ温泉に入り、昨日と同じスーパーで飯を仕入れ、昨日と同じ屋根の下にテントを張った。そしたら昨日と同じく、雨が降ってよく眠れない…

95日目 9/11 高岡市~南砺市井波

 朝、氷見の漁港まで行って刺身定食を食べる。1100円。三食賄える値段だな。
 14日に富山から高速バスで埼玉へ一時帰国せねばならないので、派手に移動出来ない。だから、富山県内の五箇山(合掌造世界遺産)まで小旅行に出ることにした。大学の頃にも行ったことがあるのだが、合掌造集落の手前で、バスを待つのが面倒臭くなり引き返してしまった。あれには少し悔いが残っていたのだ。

 しかしどうやら旅の疲れが今日出た様で脚の回転が悪いので(昨日一昨日は何ともなかった)、2日かけて行くことにした。
 ゆっくり漕いで井波町へ。木彫りと信仰の町らしい。木工品屋さんがずらーっと並んでいる。一体何十軒あるのだろう。このご時世で、果たして木地師さん達は飯を食っていけているのだろうか。
 へとへとになりながら井波の道の駅に辿り着いた。道の駅内の木彫り屋さんが空いていたので、入って見てみた。凄まじかった。精巧さは元より、人間の像の表情が、まるで生きているかの様だった。北海道では、アイヌの木彫りも素晴らしいと思ったが、こちらもまた…

 道の駅に隣接している木彫り品展示館の入り口に屋根があるので、雨を警戒してそこにテントを張った。

走行距離60キロ

94日目 9/10 入善町〜高岡市

 ipadインターネッツで夜更かししちゃったので、今朝はいつも以上にだらだらしたら、キャンプ場を出る前に12時になった。ま、どうせ今日はなにも予定がないから良いのだ。進まない日があっても良かろ。


 が、結局じっとできなくて、サイクリングロードをすいすい漕いでしまった。六年前に初めての一人旅行で出かけた雨晴海岸へ行くことにした。地図によると雨晴海岸には無料のキャンプ場がある。


 富山の景色は、東日本旅で見て来たものとは、どこか違う。何が違うのかよく分からないが、何となく違う。
 ただ、山形の庄内地方と少し似ているような気もする。日本海と、たんぼと、山と、北日本の田舎でお馴染みの疲弊感が無い町。耕作放棄地もない。多分、暮らしている人達が豊かなんだろうなぁ。富山県は、一世帯当たりの貯蓄高もかなり高い方だった様な気がする。
 という訳で、越中の印象は良い。冬は雪がきついんだろうけど、暮らしやすそうだなあ。人口は少ない割に、意外と外を歩いている人を見かけるし(北日本は……)、治安もすこぶる良さそうだし。人々の雰囲気も、東北や首都圏と比べると明るい。越中いいな…気に入った。

93日目 9/9 信濃町〜上越〜富山県入善町

 雨は止んだ。9時頃出発。
 野尻湖から上越市へ向かって20キロくらい下り。勾配は大したことないが、まあ気分は良い。楽だ。

 新潟の日本海側に対して陰鬱な印象しかなく、好きでないので、泊まりたくない。一気に富山県を目指してみる。
 上越市から糸魚川市まで、海沿いにサイクリングロードがあるので、そこを目指して走っていたら、モルモン教徒につかまった。

モ「神についてどう思いますか?」
私『僕は神を信じていません』

「旅をして自然を見ていると、何か絶対的な存在を感じませんか?」
『感じますね』
「それが神だと思いませんか?」
『いえ、僕は地球を神だと思っている感じなので…』
「神が地球を作られたからきっとそう感じるのです」
『(苦笑)』

「神について話を聞いてみませんか?」
『いえ、僕は無神論者なので』

「よかったら連絡先を教えてもらえませんか?」
『いえ、キリスト教は好きじゃないので』

 何度こちらが断っても、自分の宗教をゴリ押ししてくる。アメリカ的な強引さを感じた。日本人の宣教師だったけど。


 上越市の海からサイクリングロードでとても快適に糸魚川まで行く。ふむ、台風一過で晴れてくれたので、たまには新潟の日本海側も悪くないと思える。えー、素直に言いますと、良かった。でも、もし明日も見たら、きっと飽きる。

 糸魚川に着いた14時半の時点で走行距離82キロ。この先は難所・親不知が待っている。空にはどんよりと雲が広がってしまった。雨中の親不知は避けたいので早目に行くしかない。
 「ここは親不知です」という看板もなかったので、覚悟が足らないままトンネルの連続する地獄に足を踏み入れてしまった。北海道のアホトンネルよりも車道が広く、北海道よりも糞ばかトラック死ねは少ないものの、トンネルの本数が多い。しかもトンネル内でも道がくねくね曲がっていて先が見えない。
 必死になって漕いでいるのと緊張とで、汗がだらだら出る。背中まで汗でびっしょりになる。ここは現代もチャリダーにとっては難所だ。
 狭くて見通しの悪いトンネルで、後ろから来たボケナストラックにクラクション鳴らされた。私に鳴らしたのか、対向車に注意の意味で鳴らしたのかは定かではないが、腹が立ったので中指を突き立てておいた。クズ野郎!道端にゴミ捨ててんのも、どうせてめーらだろ。

 親不知はそげな難所だった訳だが、ここは昔の旅人達に敬意を表して、「鬼畜道」認定はしない。昔は崖下の海の真ん前を、旅人達は命を賭して渡っていたのだ。 昔と今とでは、「難所」という言葉の持つ重みが違う。


 カストラック達の波状攻撃をかわし、無事6年振りに富山県に入り、当てにしていたキャンプ場は当たり、さてテントを張る前にお風呂だ。
 温泉旅館の手前で、地元のおじいさんに、念のために日帰り入浴出来るか聞いてみた。「駄目だぁ。何年か前に潰れた」
 ふぐう。風呂に入るまでは眠れん。この辺には銭湯もないらしい。だが、おじいさんが車で案内してくれるとのこと!なんて親切なんだろう。「ついて来られ」だって。越中弁もゲットだぜ。
 しかし次の施設も休館日だった。汗を流さないまま、キャンプ場に戻る訳には行かない。
 おじいさんが更に次の銭湯まで連れて行ってくれた。本当に親切だ。別れ際、「気を付けてな」と笑顔で言ってくれた。私を案内するのが面倒臭かったというような素振りは全くない、本当の笑顔だった。


 さっきのキャンプ場から10キロも離れてしまったので、暗い中、次のキャンプ場まで行った。使用料タダで、冷たい湧き水まである、神がかったキャンプ場だ。


走行距離135キロ

92日目 9/8  信濃町連泊

雨及び台風の為、連泊。今日もテント値段でバンガローに泊めて頂く。
雨だと動けないからつまらない。


ところで、9月に入ってから、早くも北海道が恋しくなってきた。秋の北海道は、静かで良いんだよなぁ…。夏よりもヒグマの恐ろしさが増すけど。
舞鶴からフェリーで行っちゃったりして…

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旅烏になり申す。

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