素浪人の生存報告

　アルバイトは来週から始まる予定だったのだが、今日は突発的に屋外での作業が入った。寒かったけど、楽だったし、暇潰しになったし、おまけに給料貰えるし、いがったいがった。

　作業を終えて、近くの浜を見物しに行ったら、地元のおじさんが発泡酒を飲んでいたので、「こんにちは」と挨拶した。そしたら、そのおじさんは話好きな人で、私にも発泡酒を1缶よこしてくれ、世間話が始まった。
　おじさんは、ハタサーでもあり、ウミンチュでもあった(農民・漁民)。さとうきび畑は日給7000円で昼飯付き、そして残業があれば日給1万円になるらしい。うぐぐ…さとうきび狩りはどぎつい作業だろうから、と敬遠していたのだが、畑を持っている人から直に金額の話を聞くと、心が揺らぐ。二ヶ月やれば20万円くらい稼げそうだな。

　おじさんに、今度食事に連れて行ってもらえることになった。おお、旅人らしい出会いだ。
　春になり、再び移動の生活に戻ったら、残りの旅を充実させる為に、なるべく多くの人と出会える様に行動しようと思う。ここまでの旅では、控え目に、且つ受動的に人と接してきたが、これからは少しは自己PRしよう。


　鹿児島のライダーハウスのオーナーが、「旅を続けていると、都道府県境を跨ぐこと自体が目的になってしまいがちだが、それに気付くのは大抵旅の後半になってからなんだよ」という様なことを言っていた。九州を旅していた時の私は、まさにその県境跨ぎ旅人だった。「よし、初めて佐賀県に来たぞ、でも興味ないからさっさとおさらば！」てな塩梅で。
　旅の目的を見失いながら旅した九州では、心模様の現れで、写真もあまり撮っていない。正直な所、九州の旅を後悔している。だからこそ、もう半分を過ぎ、残り少なくなった旅路は大事にしたい。

　オーナーは、「留まるのも旅や」とも言っていた。私は、動くことが旅だと思っていたので、その言葉は深く心に残った。沖縄に留まっている今も旅の最中なのだ。
　良い人と、実に良い時に出会えたと思う。何年後でも良いから、また会いたい。