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素浪人の生存報告

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6月17日 半年ぶりの本州 尾道市

 朝、最早おなじみのスポットとなった道の駅の自販機コーナーで、地元のおじいさんに面白い話を聞いた。
 なんでも、しまなみ海道(橋)が出来る前は、島では誰も家の鍵をかけなかったが、橋が出来たらいぎなり空き巣が増えて、警察から各家庭に「家を空ける時は鍵をかけるように」とお達しがきたんだと。あと、島の女子高生が痴漢におうたと。
 我々観光客はワイワイ橋を通りゆうけんど、その橋の下では、島民達の生活は以前と変わっとっちゃ。開発には功罪あるわな。




 おっちゃんと話した後は、大三島が全国に誇る日本最古の社「大山祇神社」へ。
 源義経やなんとか天皇が奉納した日本刀が飾られてあって楽しかった。国宝と重要文化財の宝庫。真剣は本当に切れ味するどそうで、迫力あったなあ。あれで斬られたら、首ちょんぱ・内臓まるだし・出血多量やね。武具は撮影禁止じゃったんが残念じゃったんじゃ。
↓樹齢2600年の楠。歴史があり過ぎて太刀打ちできないぜ。



 大三島から橋を渡ると、そこは広島県生口島。県境を跨ぐと雰囲気が変わるのが不思議。やはり広島県側の方が都会っぽい。
 生口島から因島に渡ると、もう離島感がのうなった。素通り。



 因島から最後の向島に渡った所で、むちゃくちゃ久しぶりに日本一周チャリダーと出会った。大阪から来た、くらもと君26歳。リュックを背負いながら走るタフガイじゃ。僕がリュックを背負って自転車旅したら3日でヘルニアになるわい。
 くらもと君とは方向が同じやったんで、一緒に走った。ペアランなんて去年7月の北海道以来やねえ。
 くらもと君が、私の自転車を後ろから見て、「タイヤ大分キテますね」と言った。
そうそう、後輪パンクしとんのよね。なんでか知らんけど、新居浜を出た日から後輪の空気がよう抜ける。抜ける度に空気をいれてきたが、今日は抜ける頻度が高い。くらもと君曰く「小さい穴が空いとるんですね」。なるほど、そういうパンクもあるのか。
 後輪は、タイヤの山ものうなって、グリップ力がまるで無いけん、替えなあかん。チューブは新品ば持っとうけん、パンクの問題はすぐに解決しようと思えば出来るっちゃけど、タイヤの替えはなか。チューブを今替えて、タイヤを後で買って替えるとなると、2回も後輪の荷物とタイヤを外さにゃならんくなる。そげだ事は、くっそくそくそめっちゃぶちなまらばりいぎなりなっから超難儀じゃけん、チューブとタイヤは同時に替えたい。ほいじゃけ、タイヤを売っとる店まで粘りたい。


 セブンイレブンがある都会的な島・向島から渡船で尾道へ(セブンイレブンも半年ぶりに見た)。ひっさしぶりの本州じゃーーーー。少し感慨がある。やっぱ僕は本州人なんだな。



 焼山寺で出会った福山人のOさんに教えてもろうた尾道ラーメンの名店「朱華園」にくらもと君と入った。
 シンプルで飽きのこない味。福岡のトンコツラーメン以外で、ラーメンを旨いと思ったのはかなり久しぶりじゃな(須崎の鍋焼きラーメンも美味しかったが、色物なのでラーメンの範疇に入れない)。いやーいがったいがった。

 ラーメン屋を出た所でくらもと君とはお別れ。彼は福山へ。私は、尾道のお好み焼きを食べる為に今日は尾道泊まり。お遍路では食費を割と節約していたもで、これから先は食べ物の為に生きる。最近、日本を旅するとは、旨い物を食べることだと気付かされたけんな。
 ipadでビュウホテルセイザンを予約したら、そこは凄い坂の上の宿で、自転車を押し切れん。坂の途中で立ち止まってしまった。そしたら、後ろからカブが来た。道を譲ろうとしたら、カブのおじさんに「どこまで行くの?」と聞かれ、

『ビュウホテルです』
「そらー無理だわ。2時間かかるよ。下に自転車置いて歩いて登った方がいいよ」
『でも盗難が怖いです…』
「じゃあうちの駐車場に自転車置きな」
『いいんですか!?』

という訳で、下の駐車場まで案内して頂き、自転車を置かせて頂いた。さらに車でビュウホテルまで送って下さった。なんて親切な。
 このおじさんは映像関係の仕事を東京でしていたそうで、私が『尾道は絵になる街ですね』と言ったら、「どんな街でも絵になる所はあるんだよ」と言った。そうか。

 ホテルにチェックインしてから、坂を降りてカブのおじさんに教えてもらったお好み焼き屋「村上」に行った。

 お好み焼きが焼けるのを待っている間、お店のおばちゃんと他のお客さんに、私の旅の話を聞かれた。えらく褒めてもらって照れた。知らん人とも会話をする土壌があるのが西日本のとてもええところ。私は関東にもどって、あの暗くて他人行儀な雰囲気に耐えれるかな…。好きじゃないんよね、関東。



 砂ずり(砂肝)の入ったお好み焼きは大変おいしく、店のおばちゃんも近所のおっちゃんも大変気さくで、方言も教えてもろうたし、ぶち楽しかった。土地の人と話しながらぁ土地の物を食べるなんてのぁ、旅の醍醐味だねえ。良いねい。一発でその街を気に入るよねえ。

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