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素浪人の生存報告

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十五日目 5/20 大潟村

大潟村逗留。溜まっていた日記とブログを片付け、民宿に泊まり、洗濯して布団で寝てリフレッシュ!

十四日目 5/19 由利本荘市西目町~大潟村

9時くらいにお寺さんを出発。奥さんが「お金が浮くだろ」とおにぎりを持たせて下さった。ありがとうございます。

つまらない国道を行く。海沿いは国道しかない。きっと内陸の道のほうが面白いはずだが、坂道なので私の体力では無理だろう。
山の道に魅力があるであろう四国と紀伊半島では、交通手段を徒歩に変えようかと今から考えている。

道の駅岩城に入ると、女の子から声を掛けられた。私の反対車線を車で走っていたが、自転車に荷物付けている私を見て、わざわざ引き返して来て声を掛けてくれたそうだ。
彼女は21才で、来年仕事を辞めて自転車で日本一周するつもりで、もう自転車も購入済みらしい。私の他にも、自転車やバイクで日本一周中の人に何度か会ったことがあるそうな。人と話すのが好きで、色んな人との出会いを求めて旅に出るのだ。朗らかな子で、結構自転車の練習をしているらしく、私よりはるかに体力がありそうだった。多分彼女ならば軽く日本一周出来るだろう。
ソフトクリームをおごってもらった…(笑)

旅路へ復帰し、つまらない状態のまま進む。夕方になって雨が降ってきた。道の駅で雨宿りするも、止みそうにないので仕方なく雨に濡れながら行く。
本日の目的地は、八郎潟を干拓して出来た大潟村。雨が降ってきた時点で私がいた位置から20キロくらい先だ。平坦な道で逆風がなければ、丁度時速20キロくらいなのだが、雨でタイヤが進みづらくなっているから、1時間以上かかる。大潟村に近づくと雨足が強くなり、服は完全に濡れる。
橋を渡って何とか大潟村に入るも、気になっていた右の太ももの裏が軽く肉離れを起こしたようで、痛い。そして2004年からの付き合いである右膝の横の靭帯も痛い。雨と肉離れと靭帯炎という、旅に出て以来最悪の状況に見舞われた。おまけに大潟村の道は路側帯も歩道もなく、怖い。

キャンプ場にテントを張って寝ようと思っていたが、この雨では駄目だ。とりあえず道の駅を目指すも、大潟村に入ってから見た道路標識では9キロ先…あと30分かかる。
自分で自分を励ましながら、まっすぐでまるっきり雨宿り出来る場所のない道を行く。辛い。最低の1日だ。

何とか道の駅に着くが、ここにもテントを張れそうな場所はない。参った。
自転車を道の駅に置き、歩いて近辺を探索すると、神社に屋根付きの土俵がある。ここしかない!
神社は留守なので、電話で使用許可を取りろうと思い、道の駅の店員さんに宮司さんの電話番号を教えてもらいに戻った。
若い女性の店員さんは宮司さんの電話番号を知らなかったが、役場に問い合わせてくれた。凄く親切な店員さんだ。そして、役場に聞いた宮司さんの電話番号に店員さん自ら電話をかけてから、私に替わって下さった。宮司さんに事情を説明するが、土俵は宮司さんの管理ではないらしいので、管理者の方の電話番号を教えて頂いた。すると、店員さんが「私からかけた方が良いでしょう」と気を利かせて下さった。本当に親切な方だ。私は何度「すみません」と「ありがとうございます」を言ったかわからない。
無事許可を頂いて、ブルーシートがかかった土俵の上にテントを張った。最悪の日が終わった。

十三日目 5/18 酒田市~由利本荘市西目町

出発!国道7号を秋田方面へ進む。秋田県にかほ市へ入る。沿道の景観は何一つ面白くない。秋田県の海沿いには景色を期待していない。

何だか今日も体力がない。疲れながら漕ぐ。肉を食って力をたくわえようと、17時台に「すき家」に入った。負けた。こういう店には入らないつもりだったのに。まぁ、意地よりも生命の維持を優先だ。焼き鳥丼を食べた。

更に北上して由利本荘市に入った。道の駅にテントを張ろうと思っていたが、今一つ適当な場所もなく、近くにゲームセンターのようなものもあって治安が心配なので、やめた。お寺に頼んで境内にテントを張らせて頂くことにしよう。

町人に近くのお寺への道を尋ね、お寺さんへ。本堂の横の住宅のピンポンを押し、事情を説明したら、テントを張ることを快諾して下さった。
足の裏で、やわらかくて平らな場所を探って、適地を見つけて張ろうとしたら、お寺の住職がみえ、「テント開いて畳むの面倒でしょ。車庫か本堂で寝なよ」とおっしゃった。ありがとうございます。
車庫はコンクリートで固かったので、本堂の畳の上をお借りすることにした。テントで寝るのが好きでない私には非常にとても実に凄くありがたい。天国だ。
住職の奥さんがやってきて、晩ご飯をすすめて下さった。2時間程前に焼き鳥丼を食べたが、既に腹が減っている。ありがたく頂戴する。
住職が釣ったアイナメとタコの刺身と、アイナメの唐揚げ、煮付け、そしてアスパラガスとほうれん草とたけのこ汁とご飯と日本酒をご馳走になった。旅に出てから初めての刺身だ。ご馳走だ。
住職ご夫婦との会話もまた楽しく、独りでテントを張り周囲のあらゆる音に神経質になりながら過ごす夜(読者の皆さんは、原始時代じゃないんだから…と突っ込みたくなるかもしれないが、おら本当に音に敏感なのよ)と比べれば、正に天国と地獄。あぁ、出会いに恵まれている。
更にお風呂にまで入らせて頂いて、寝た。

十二日目 5/17 酒田市松山町

「佐藤農園」さんで田植えのお手伝い。佐藤農園さんは海外からの留学生の農業体験を受け入れることもあるそうで、色んな人が集まる農家のようだ。だから私も拾って頂けたのだろう。

田植えのお手伝いといっても、今は田植え自体は機械で行う為、私がやるのは、ビニールハウスにずらっと置いてある苗を軽トラに積んで、たんぼまで運ぶことだ(軽トラの運転はお母さん)。
チャリンコ旅に出る前だったら大してお役に立てなかったかもしれないが、苗運びをしていると、結構筋力がついたのを実感出来た。今ならリンゴ満載のコンテナも前より楽に持てるはず…!(一昨年の秋はリンゴ農家の手伝いで四苦八苦した)

9時くらいから、16時過ぎまで作業をして(今日はなかなかはかどったらしい)、温泉に連れて行ってもらい、佐藤さん宅で晩ご飯と日本酒をごちそうになった。食卓で飛び交う庄内弁を聞き取るのは英語より難しい。「たそがれ清兵衛」のおっとりした庄内弁は酒田の隣の城下町鶴岡のもので、港町酒田の庄内弁はそれより荒っぽいのだそうな。人は優しいんだげっちょ(これは福島県の中通り弁)。
ここで庄内単語をひとつ。
みぇじょけねぇ…かわいそう
発音が難すぃ!

十一日目 5/16 酒田市松山町

洗濯物が乾くのを待って、キャンプ場を出たのは13時20分。体がやけに疲れている。旅の疲れがどっと出てきた様だ。
この辺りでもう一泊せねばならぬが、もっと標高の低いキャンプ場が良い。地図を見ようとコンビニを目指していると、「産直さくら 金・土・日営業 1km」という看板が目に入った。農産物直売所好きの私としては、行かぬ手はない。

直売所のおばちゃん達からお菓子やお茶を頂きながらおしゃべりしていると、直売所の畳部屋に泊めてもらえることになった。畳は地面より寝心地が良いから、くたびれた体にはありがたい。そして、独りで屋外に泊まるのがどうも好きではないので、その面でも大変ありがたい。

おばちゃん達との話の流れで、明日は田植えのお手伝いをすることになった。流れに身を任せる旅だから、風が「ここに留まれ」と言うのなら、それに従う。

直売所には、馴染みのお客さんや商品を出している人が来る。そういう人達とのんびりお話するのも楽しい。色んな人と話しながら、ゆっくり行く旅でもあるのだ。
で、馴染みのお客さんの内のお一人が、通りすがりのわたくしの買い出しの為に、スーパーまで車で連れて行って下さった上に、晩ご飯にたけのこご飯を作って持って来て下さった。ああ、ありがたい。
更に、別の馴染みのお客さんが、最上川名物「さくらます」を焼いて持って来て下さった。「私の長男も、バイクで旅行して、色んな人に親切にしてもらったでて言ってたから」と。ジーン。人の情がしみる旅だ。受けた恩は、いつか世の中に返したい。

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プロフィール

HN:
本多
性別:
男性
職業:
素浪人
自己紹介:
旅烏になり申す。

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